避妊・去勢について

避妊・去勢手術について

避妊・去勢手術は全身麻酔を必要とする手術です。
メリットもありますが、その反面デメリットもあります。
そのことをしっかり理解していただいた上で手術を検討してあげてください。
人間も同じですが、手術を行うことは少なからず、体に負担がかかります。
その負担を考えると避妊・去勢手術を希望されない飼い主さんもいらっしゃるかも知れません。
しかし、避妊・去勢手術を行うことによって、生殖器に関連する病気の予防、問題行動の抑制や生活の質の向上などのメリットがあります。
当院では犬猫はもちろんウサギも行っております。メスウサギについては3歳で50%、5歳で80%が子宮疾患を持つことがいわれています。だからウサギはオスの方が長寿なんですね。

避妊・去勢手術によるメリットとデメリット

去勢手術によるメリット

前立腺肥大症

猫ではあまりありませんが犬では高齢になるとよく罹患します。人と同様精巣から分泌されるホルモンが発症に関与しているといわれています。前立腺の過形成によって排便障害、血尿がみられ、時には悪性腫瘍になってしまうこともあります。

肛門周囲腺腫

猫ではあまりありませんが犬では高齢になるとよく罹患します。未去勢の高齢犬で腫れぼったい肛門している子を見かけませんか?多くは良性ですが時には悪性腫瘍になることもあります。

会陰ヘルニア

中年齢以降のよく吠える犬に見られます。直腸を支える筋肉群が萎縮することにより、腸管などの器官が会陰部(肛門のまわり)の皮下に脱出する病気です。詳細な原因は不明といわれていますが、性ホルモンの関与が推測されており、去勢手術によって、その発症を抑制できると考えられています。よく吠える犬は腹圧がかかってその時に脱出しやすいんですね。

その他

犬猫ウサギとも問題行動抑制のファーストチョイスになります。すべてではありませんが、温和で飼いやすくなるといわれています。

避妊手術によるメリット

子宮蓄膿症

これは未避妊の高齢のメス犬で発症が見られます。
子宮の細菌感染による膿様物が子宮内にたまり、治療が遅れるとその細菌が、生み出す毒素によって死に至る病気です。病院によっては卵巣のみをとる手術を行っているところもあります。未だ議論の余地があるのですが卵巣の取り残しなどにより、蓄膿症が発症することもあることから当院では卵巣と子宮両方をとる手術を行っています。

乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍の平均発症年齢は10~11歳です。室内で飼うことが増え、飼い主さんの意識向上もあって長生きする子が多くなり必然的に腫瘍は増えてしまうのですね。繁殖の予定がないのであれば是非手術を早期に行うことをおすすめします。早期に避妊手術を行う事により乳腺腫瘍を発症するリスクが明らかに減少するという報告があります。犬では1回目の発情出血が始まる前に避妊手術を行った場合:99.5% 2回目の発情出血が始まる前に避妊手術を行った場合:92%2回目の発情の後に避妊手術を行った場合:74% 2歳半以上で避妊手術を行った場合:予防効果なし  猫では生後6ヶ月までに避妊手術を行った場合:91% 生後7~12ヶ月までに避妊手術を行った場合:86% 生後13~24ヶ月までに避妊手術を行った場合:11% 24ヶ月以降に避妊手術を行った場合:予防効果なし  若齢での手術がいいことはわかってますが実感として2歳までに手術をしている子は犬猫とも殆ど発症してない感じはします。3才になったらやっても意味ないの?いえいえ、子宮蓄膿症はいつやっても手術を行えば大丈夫ですから。

子宮腫瘍

前述しましたがメスウサギは年をとるにつれ高率で子宮疾患を持つことがいわれています。3歳で50%、5歳で80%の子が子宮疾患を持つといわれています。

去勢・避妊手術によるデメリット

麻酔のリスク

避妊・去勢手術は全身麻酔を必要とします。麻酔に対してのリスクは0%とはいえません。なかには麻酔に対して、アレルギーを持っていたり、パグ、 ボストンテリアなどの短頭種では麻酔後に気道が閉塞してしまう可能性もあり得るため 全身麻酔に関しては短時間であっても十分に慎重に行う必要があります。当院では麻酔事故を限りなくゼロにするため、麻酔モニターにて麻酔ガス濃度、炭酸ガス濃度、心拍数、酸素飽和度等の管理を行いながら安全な麻酔を心がけています。ウサギについては挿管(気道にチューブを入れて行う麻酔ガス管理)が非常に難しいので多くはマスクでの麻酔管理になります。あらかじめご了承ください。

肥満

避妊・去勢手術の後に肥満傾向になる犬や猫が多くみられます。手術後に基礎代謝率が減少することによりカロリー要求が減ります。行動範囲が狭まることで、運動量が減り、体重が増加してしまいます。対策としては一定量の食事を規則正しく与え、適度な運動をすることです。また、避妊、去勢した犬猫専用のフードなどもあり、手術後の肥満防止を図ることができます。

 

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